新聞勧誘のおじさんの営業を断った話

 昨日、新聞勧誘のおじさんがやってきた。

 二年ぐらい前にもやって来て、息子ほどの年あろう自分に「三ヶ月だけでもいいので!」と懇願するので、可哀想になってそのときは、「今回だけですよ」と言いながら三ヶ月の約束で購読した。

 その後やって来た販売店の人が契約者がオレであるにもかかわらず、「お家の人にお礼を言っておいて」とテキトーな態度で粗品を置いていったので、二度と取るものかと思ったが、二年の月日を経てまたおじさんはやってきた。

 

 以前はA新聞の勧誘員だったおじさんは、次はB新聞の勧誘員となり以前契約した実績のある家を回っていたらしい。

 夏の暑い盛り、汗ばんだYシャツの胸元から肌着をのぞかせながら、おじさんはまたも息子ほどの年であろう自分に「三ヶ月だけでもいいので!」と懇願してきた。

 

 (今回だけってこの前言ったやん)と思いながら、おじさんの営業トークをしかたなく聞いたが、内容といえば新聞業界の危機的な状況と、契約がとれなければ弁当代ぐらいにしかならない自分の仕事についての愚痴であった。

 

 確かにこの前は、営業の仕事をしていたので、ノルマを前に苦しんでいるおじさんを助けたいと思い協力した。

 しかしそれに二度目があるかといえば、自分としては「無いな」と思うほかなかった。3ヶ月で約一万円の出費である。 読みもしない紙をなぜ買わなければならないのか?

 

 「すいません、読まないです」と断った。おじさんはオレの腕を使って更に懇願してきた。

 

 「すいません、ホントに無理です」と言った。おじさんは帰っていった。

 

 その後、母から、おじさんがオレの帰りを待って一時間ほど近くの空き地で車を止めていたことを知らされ、生きるっていうことは地獄だと、ちょっと厭世的な気分になった。