未払残業代請求(自分の場合)後編

(つづき)

 

弁護士への依頼

 弁護士を選ぶ上でその弁護士が左翼系か否かを主な基準とした。これは何となくのイメージとして親身になってくれそうだからという理由だが、結果としては労働問題に詳しい弁護士に依頼することが出来た。

 自分から弁護士への直接の依頼ではなく、法テラスを介した依頼にした。こうすることで、残業代を受け取るまでに発生する弁護士への支払いなどを、一旦法テラスに肩代わりしてもらい、自分の支払える範囲内の金額を月々法テラスに返済するという形がとれる。自分の場合は月々千円の支払いにした。

 着手金などの支払いは家計に響くと思うのでこの制度を利用しない手はない。ちなみに報酬自体も法テラスを挟むと2割ほど値引きされるらしい。月々の収入によっては利用することが出来ない場合もあるので法テラスの職員に相談するといいと思う。

 

弁護士から会社へ内容証明書を送付

 依頼した弁護士に資料を渡し、残業時間はもちろん、始業時間前にあった10分ほどの掃除の時間も勤務時間に算入して未払金を計算したところ150万円ほどになった。

 弁護士が全て書類を作成し会社に送付したのが8月。その後こちらの弁護士と会社の代理人である弁護士の間で提示した金額の根拠等につきやりとりがあり11月になって先方から120万円での和解を提示してきた。

 

弁護士との相談

 提示された和解案にこちらとしては当然納得できなかったが、弁護士からこの段階で和解せずに労働審判又は本訴に持ち込んだ場合の費用、時間、条件面でのデメリットを説明され、結局はこちらの請求額と先方の提示金額の間を取って135万円の和解案をこちらから提示することになった。

 正直言って自分としては法廷で争うつもりであったが、その動機を考えてみると法廷の場で自分の正義を証明したいという思いがあった。それに対して弁護士が言うには、結局、裁判所は和解を奨めるので下手に裁判に持ち込むより、それを交渉のカードとしてこちらに有利な和解案を先方から引き出すのがいいだろうとのことだった。

 それでも内心には憤懣がくすぶっていたので結局は和解案に①「労働基準法に違反していたこと」、②「①について謝罪すること」を条件に入れるという形で話がまとまりその和解案を弁護士に作ってもらって先方に提示した。

 

結果

 2月になり先方からこちらの提示した和解案に応じる旨の連絡が入ったと弁護士から連絡があった。

 こちらとしては異論もないので弁護士の方で作った和解文書に判子を押した。その後3月になって135万円のうち25万円ほどが報酬として差し引かれ、残額の110万円が自分の口座に振り込まれた。

 

未払い請求をした感想

 一年ほどしか会社に勤めなかった自分でも135万円ほどの未払賃金が発生していた事を考えると会社が残業代の未払いで得ていた金額は年間4,050万円ほどあったことになる。

 自分がやったことはその極々一部を取り返しただけで会社はこれからも残業代を支払わないだろうし、それによって得た利益をもとに成長していくだろう。

 自分一人が何をしてもマクロに与える影響は微々たるものだが、それでも多少の影響をあたえることが出来なのではないかと思う。

 そう思ったのは未払残業代が支払われてからしばらくして元同僚の方々と飲みに行った時に、これまで始業時間前に行われていた社内の掃除が始業時間後に行われるようになったと聞いたからだ。

 自分の行動によって職場環境に変化があったこと、それだけでも未払残業代請求をしてよかったと思った。